烏丸ストロークロックと祭『祝・祝日』広島限定公演。「人と人ならざるものとのあわいにある舞台」

烏丸ストロークロックと祭『祝・祝日』広島限定公演。「人と人ならざるものとのあわいにある舞台」


SPICE

2019/1/11 17:30

現代日本人が抱える焦燥や孤独を、詩的かつ生々しく描き出す作品を、フィールドワークや試演を通じて数年がかりで作り上げていく、京都の劇団「烏丸ストロークロック」。ここ最近しばしば作品中で取り上げている、日本の伝統芸能「神楽」を大きくフューチャーした『祝・祝日』を、昨年の仙台初演に続き、広島でも上演する。

『祝・祝日』は、これまで烏丸作品の中でモチーフにしてきた神楽の舞を、祭の形式に沿ったパフォーマンスにした最新作。謡の形を取ったテキストと、劇中音楽を担当してきた中川裕貴のチェロ演奏に乗せて、俳優たちがただ舞い踊る。そこから3.11以降の日本人が抱える「寄る辺なさ」を浮かび上がらせると同時に、様々な歴史を経て今を生きる人々への“祝い”を感じさせる世界を構築した。広島公演では、このエリアに伝わる神楽を取材して改編をほどこし、さらに広島の役者を加えた形で上演するという。
烏丸ストロークロックと祭『祝・祝日』2018年仙台公演より [撮影]相沢由介
烏丸ストロークロックと祭『祝・祝日』2018年仙台公演より [撮影]相沢由介

劇団代表の柳沼昭徳からは、公演に向けて以下のような言葉をいただいた。普段は作・演出に専念しているが、広島公演では珍しく彼自身も舞台に立つそうだ。

「お祭りというものが、自然災害や病気や死といった人がコントロールできない災厄の、痛みや不安を共有するみんなが、同じ場所に集まって人ならざる何かに祈り、願うことで憂さをはらすことを目的としているならば、今の日本、とりわけ都市部の劇場と演劇はもっとその役割を果たしてもいい。
この作品は、東北の山伏神楽の世界観をもとに、自然も人間社会も不審ななか、憂いながら今を生きる私たちを祝うお祭りとして生まれました。人と人ならざるものとのあわいにある舞台、どうぞお楽しみに」

岸田國士戯曲賞最終候補に挙がったほどに評価される、リアルで重厚な会話劇を封印し、新たなる可能性を探り始めた柳沼、および烏丸ストロークロック。今後も全国各地でリサーチと上演を重ね、10年かけて完成を目指すという作品の、その萌芽ともいえる状態を、特に広島近辺の方々にはぜひ目撃してもらいたい。
烏丸ストロークロックと祭『祝・祝日』宣伝ビジュアル。 [版画]丸町年和
烏丸ストロークロックと祭『祝・祝日』宣伝ビジュアル。 [版画]丸町年和

文=吉永美和子

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